小田原デザインウィーク:地域ブランディングの最前線
「地域×デザイン」のお祭りが示すヒント
こんにちは!
ここ数年、全国各地で「○○デザインフェア」「△△クリエイティブウィーク」といった名前のイベントが増えています。歴史ある城下町でも港町でも、地元の工芸・食文化・まち並みをデザインの力で再解釈し、観光客だけでなく住民自身にとっても新しい発見を生む──そんな取り組みが各地で続々と始まっているんです。
今回お届けするのは、イベントのしくみや舞台裏で使われたブランディング手法のレポートです。
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「地元の魅力を見つめ直したいけど、何から始めれば?」
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「デザインと観光を結び付ける実践例が知りたい」
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「イベントを一過性で終わらせず経済循環につなげるコツは?」
こんな疑問を持つ方のヒントになればうれしいです。文章は気軽に読める口語調、ボリュームは約 5,000 字。さて、どんなアイデアが隠れているでしょうか?
1.イベント全体像──“まち全体が会場”の設計図
お祭りの正式名称はここでは控えますが、開催地は海と山に挟まれた城下町。主催は観光・商工・文化 NPO が連合した実行委員会で、自治体は後方支援に徹する形です。期間は 10 日間。以下のように**「点」ではなく「面」で体験が広がる構成**が特徴でした。
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メイン拠点…旧城郭エリアの芝生広場(クラフトマーケット/ワークショップ)
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サテライト…商店街の空き店舗、寺社境内、港の倉庫、古民家ギャラリー
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移動導線…来場者が自然に回遊できるよう、スタンプラリーと AR ナビを併用
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オンライン連携…トークセッションや作品販売は配信プラットフォームでも実施
この「分散+回遊」設計のおかげで、来場者が広範囲に流れ、飲食店や土産物店の売上も底上げされました。単独会場に人を詰め込むスタイルだと混雑対策に追われがちですが、まち全体をギャラリーに見立てれば密を避けつつ滞在時間を延ばせるわけです。
2.地域資源の棚卸しと再編集
イベント企画段階では、まず**「地域資源の棚卸しシート」**を作成したそうです。項目は次の四つ。
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歴史・文化(城、文学、祭り、伝統工芸 など)
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自然・景観(海、山、川、温泉、星空 など)
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産業・食(農産物、水産物、加工食品、酒蔵 など)
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人・コミュニティ(職人、若手クリエイター、まち歩きガイド など)
各項目で「放っておくと消えそうな資源」「磨けば光る資源」をリストアップし、どの資源をどのクリエイターと掛け合わせると化学反応が起こるかをブレスト。たとえば――
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漁港の古い倉庫 × プロジェクションマッピング
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梅の古木農園 × フレーバー研究家
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寺の書院 × キッズ向けインスタレーション
こうして生まれた企画は大小合わせて 100 近く。すべてを実施すると運営が回らないため、**「来場者動線」「予算」「安全管理」「話題性」**の 4 軸で優先度を付け、最終的に 50 企画ほどに絞り込んだそうです。
3.ビジュアル・アイデンティティは「伝統+余白」
イベントロゴは手描きの筆文字とミニマルな幾何学を組み合わせたデザイン。配色は「瓦屋根を思わせる濃いグレー」と「海の深いブルー」。そこにアクセントで光を連想させるクリーム色を一滴加えています。
「伝統の重みを片面に置きつつ、もう片面に“余白”を用意して来場者自身のストーリーを入り込ませたかった」(担当アートディレクター談)
このビジュアルはポスターやチラシはもちろん、公式サイト、グッズ、会場サイン、スタッフ T シャツに至るまで徹底的に統一。来場者は町を歩くたび同じ色と形に出会い、「今まさにイベントの世界にいる」という没入感が醸成されました。
4.プログラム別ハイライト
4-1 クラフトマーケット
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伝統工芸職人と若手デザイナーの合同ブース
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会期中に新作プロトタイプの投票企画 → 上位作品はクラウドファンディングへ
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現場決済はすべてキャッシュレス化し、職人の負担を軽減
4-2 ポップアップフード
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空き店舗を 1 週間限定で「地域食材ラボ」に改装
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梅・柑橘・魚介をテーマに 3 チームが新商品を開発し、即売
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フードロス対策として、売れ残り食材は夜のサイドイベント「まかないバー」で活用
4-3 ナイトプログラム
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城跡の石垣をスクリーンに見立てたライトアップ
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地元バンド+ VJ によるライブで若年層を呼び込み
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終演後は駅前 2 次会エリアへ誘導する「光のライン」を電柱に装飾
4-4 オンライン連携
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トークセッションは動画配信+同時クラウドレコーディング
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海外在住の日本文化ファン向けに英語字幕を実装
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SNS ハッシュタグを 1 つに統一し、UGC(一般投稿)を公式サイトへ自動収集
5.運営のポイント5つ
ポイント | 解説 |
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1. 予算の分散管理 | 中核コンテンツに重点配分、サテライトは協賛・物販収益で回す |
2. ボランティア育成 | 開催 3 か月前からガイド講習、終了後も街歩きツアーで継続活用 |
3. データ計測 | 来場者数だけでなく「滞在時間」「商店街売上」「SNS 投稿数」を指標化 |
4. 環境配慮 | リユースカップ制、再生紙パンフ、公共交通促進キャンペーン |
5. 次年度への布石 | プロトタイプ商品を常設店で販売、若手クリエイターをマッチング |
6.数字では測れない “副次的効果”
イベント後のアンケートで印象的だったコメントをいくつか紹介します。
- 「地元に住んで 30 年、こんなに歩き回ったのは初めて」
- 「手を動かす職人さんと直接話したら、商品を見る目が変わった」
- 「閉店した空き店舗がポップアップで生き返り、常設店として再オープンした」
つまり、地域外からの経済効果に加え、「住民の自己肯定感向上」や「空き資源の再稼働」が長期的な財産になっているというわけです。
7.あなたの地域で活かすチェックリスト
- 棚卸しは細かく・大胆に
- “よく知られた観光資源”の陰に埋もれた小ネタを拾う
- ビジュアルは “らしさ+余白”
- 古臭さと幼稚さの中間を狙うとちょうどいい
- 回遊導線を必ず描く
- 「10 分歩くごとに発見がある」体験設計
- データを取って次に活かす
- どこで立ち止まり、何を買い、どこで投稿したか
- 単発で終わらせない出口戦略
- 商品化・常設化・教育プログラム化
まとめ──デザインは“地域の鏡”になる
紙面やスクリーンで見るデザインは平面的に思えますが、地域の文脈を映し出す鏡でもあります。今回紹介した「地域デザインウィーク(仮)」のケースでは、
- 町全体を舞台に
- 伝統と現代を往復しながら
- 住民から観光客まで巻き込み
- データで効果を測り
- 翌年にアップデート
というサイクルを回すことで、着実に地域の価値を高めていました。
あなたのまちに眠る“まだ名前の付いていない魅力”は何でしょう? イベントを通じて鏡に映し、磨き上げ、次の世代へ手渡す──そんな挑戦のヒントとして、本稿が役立てば幸いです。
※本記事は複数地域の事例を再構成したフィクション要素を含みます。団体名・数値は一般化してあり、実在の組織・イベントとは直接の関係がありません。
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