デザイン思考で解決!地域の課題に挑む最新プロジェクト
デザイン思考で向き合う“地域課題”──小さな実践から広がるまちづくりのヒント
こんにちは!デザインと地域のものづくりが好きなスタッフです。
「デザイン=見た目を整えること」というイメージは根強いですが、実際には人の行動や体験を設計し、課題の解決につなげる考え方まで含めてデザインと呼ばれます。私たちは日々、地域の事業者さんや団体の方々と協力しながら、観光・商店街・伝統産業・情報案内など、さまざまなテーマで“デザイン思考”を実践してきました。
本稿では、固有名詞や数値の断定を避けつつ、現場で得た学びを再現性のあるヒントとしてまとめます。地域で活動する方、デザインの可能性に関心のある方の参考になれば幸いです。
1. まず「共感」からはじめる:現地観察と対話の積み重ね
地域の課題は、机上の前提と実際の現場で異なることがよくあります。そこで私たちは、現地を歩き、利用者と対話し、具体的な行動を観察するところから始めます。
-
観光エリアでは、動線の詰まりや、案内情報の“見落とし”が起きる場所をチェック。
-
商店街では、来街者の年齢層や回遊パターンに目を向けます。
-
伝統産業では、“価値の伝わり方”と接点の少なさが課題になりがちです。
この段階で重要なのは、**「何が不便か」ではなく「なぜそう感じるか」**を掘り下げること。課題の背景(時間・季節・移動手段・情報の見つけ方など)まで把握すると、後工程の解像度が一気に上がります。
2. 課題の言語化:問題を“解けるサイズ”に分解する
課題を一枚岩で捉えると「何から手をつけるべきかわからない」状態に陥ります。デザイン思考では、課題を複数の小さな論点に分解し、それぞれに仮説を立てます。
例:
-
「若年層の来街が伸びない」→ **情報接点/来訪動機/移動しやすさ/体験の“持ち帰り”**に分解。
-
「案内がわかりにくい」→ 掲出位置/情報量/言語・ピクトグラム/手に取りやすい補助媒体に分解。
分解できると、小さく試せる打ち手(ミニ看板の配置テスト、クイックアンケート、ポップアップ展示など)を組み合わせやすくなります。
3. アイデア創出:伝統×現代、デジタル×アナログの“掛け合わせ”
地域には、歴史や技、食、自然など語るべき素材が多くあります。一方で、それが今の生活者の目線で届いていないことも。そこで有効なのが、掛け合わせの発想です。
-
伝統技術のエッセンスを日常づかいの小物・内装・グラフィックに転写。
-
デジタルは事前情報や予約・回遊の補助に。現地の体験は触れる・嗅ぐ・聞くといった五感を重視。
-
物語は短く・具体的に。素材の来歴やつくり手の姿勢を、数行のコピーと写真で端正に伝える。
この段階で必要なのは、**「魅力の翻訳」**です。地元の“当たり前”を、外部の人にも伝わるかたちへ丁寧に言い換えます。
4. プロトタイピング:小さく作り、素早く学ぶ
ポスターの案、サインの配置、パッケージの試作、店舗の臨時レイアウト…小さな試作を短期間で回すと、想定外の気づきが得られます。
-
A/B比較:配色・コピー・配置の違いを同条件で検証。
-
置き場所テスト:視認率が上がる“数十センチ”の差が見つかることも。
-
行動観察:どの情報で足が止まり、何秒で離脱するかを可視化。
結果は**断定せず、「こう見えた/こう解釈できる」**と慎重に扱い、次の微修正につなげます。数回まわすだけでも、アウトプットの精度が安定してきます。
5. 高齢者・観光客・多言語の“ユニバーサル”視点
地域では、年齢・国籍・身体特性の異なる方が同じ空間を使います。そこで、ユニバーサルデザインの基本を初期から組み込みます。
-
読みやすい文字サイズとコントラスト
-
アイコンやピクトグラムの併用
-
段差・導線・待ち時間の負担を減らす設計
-
主要情報の多言語化・QRで補足
“誰もが使える”は、結果として全員の使いやすさを底上げします。
6. 商店街・ローカル事業者との共創:参加のデザイン
地域の事業者さんが当事者として参加できると、プロジェクトは持続性が高まります。
-
ワークショップで、商品やパッケージ・POPをみんなで試作。
-
ストーリーづくりで、つくり手の思いと購入理由を接続。
-
QR連携で、紙面は最小限・詳細はWebへ。更新負担も分散可能。
重要なのは、**“やってみたくなる温度”**で参加設計を行うこと。難易度と効果のバランスを取りながら、成功体験を少しずつ積むのがコツです。
7. 印刷とデジタルの最適化:小さく、軽く、届きやすく
印刷物は、触れる・持ち帰る・思い出すという体験価値が強み。一方で、最新情報・予約・多言語はデジタルが得意です。
-
紙は地図・導入・要点・世界観に絞り、余白と触感で記憶に残す。
-
デジタルは更新性と拡張情報を担う。SNS・Web・マップ・動画で深掘り。
-
在庫や廃棄を抑えるため、小ロット+必要時追加の運用に。
サステナブルの観点では、認証紙・再生紙・植物由来インキなどを選択肢に入れ、表示は簡潔かつ誠実に。
8. 効果検証と改善:数字だけに頼らない“複眼”
成果は複数指標で見ます。
-
行動指標:回遊・滞在・問い合わせ・再訪など。
-
質的指標:会話の内容、スタッフの体感、レビューの語り口。
-
運用指標:更新負荷、在庫ロス、連携のしやすさ。
数値は環境に左右されるため、断定より傾向を把握し、半年〜1年単位での改善に活かすのが現実的です。
9. よくあるつまずきと回避策
-
“見た目の派手さ”先行:まずは情報設計と導線。装飾は最後に最小限で。
-
関係者が多く意思決定が進まない:判断基準を先に合意(目的・対象・評価軸)。
-
スケジュール遅延:小さな中間ゴールをつくり、合意と修正を細かく。
-
誇大表現の誘惑:体験・プロセス・学びを丁寧に語る。数値は参考程度に扱う。
まとめ:地域の“物語”を、今の言葉で翻訳する
デザイン思考は、共感→定義→発想→試作→学習をくり返す地道な営みです。華やかな一発逆転ではなく、小さな改善の積み重ねが、地域のらしさを今の生活者に届く言葉へと翻訳していきます。
-
現地を見る・声を聴く
-
解けるサイズに分解する
-
小さく作って早く学ぶ
-
誰にとってもやさしい設計に
-
紙とデジタルの良さを束ねる
-
数字と体感の両目で評価する
この6点を押さえるだけで、今日から始められる工夫がきっと見つかります。私たちも引き続き、地域の皆さんとともに、使う人に寄り添うデザインを積み上げていきます。
※本記事は一般的な事例・手法の紹介を目的としており、特定の団体・企業・施策・数値の事実関係を保証するものではありません。掲載の表現は効果を断定する意図はなく、状況により結果は異なります。
Design&Printing 印刷市場
デザイナーが多数所属する印刷市場では、シンプルなオリジナルデザインや個性的、ブランディングなど個々のスキルとご依頼内容を照らし合わせ、デザイナーを選定いたします。個人様・企業様・新規開業などデザインからの作成、aiデータの持ち込みもお受けいたします。ご相談は無料ですのでお気軽にお問い合わせください。弊社実績紹介ページも併せてご覧ください。
〈印刷市場でできること〉オリジナルデザイン、テンプレートデザイン、普通紙印刷、特殊紙印刷、大判印刷、デザインのサブスク、名刺、チラシ、ポスター、リーフレット、ロゴ、はがき、封筒、WEB(ホームページ)、シール、のぼり、横断幕、Tシャツ、ハンコ、パッケージ、レーザー彫刻、伝票、タオル、チケット、キーホルダー、冊子、その他オリジナルデザイングッズなど各種制作承ります。
●印刷市場は城下町小田原にあります。
〒250-0865神奈川県小田原市蓮正寺124-2/TEL.0465-38-0663
お問い合わせはこちら https://print-ichiba.jp/menu/contact/
メール main@print-ichiba.jp