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小田原のデザイン会社が挑む!印刷の“サステナブル化”実践ガイド

デザインも環境もあきらめない。印刷の“サステナブル化”実践ガイド

朝一番に届いたのは「エコ素材のパンフレットが想像以上に素敵で、取引先にも好評でした」という嬉しい声。
「環境に配慮したいけれど、デザイン性やコストは落としたくない」――近年よくいただくご相談です。結論から言うと、素材選びと設計(デザイン・工程・運用)の工夫次第で、環境配慮・表現力・コスト最適化は両立できます。

本稿では、日々の制作現場で実践しやすいポイントを、根拠の明確化/誇大表現の回避にも配慮しながらまとめました。


1. 環境配慮素材の基本と、コストの考え方

紙の選択

  • 森林認証紙(例:国際的な森林認証に適合した紙):持続可能な森林管理に基づく流通経路が可視化されます。一般紙より単価が上がる場合もありますが、調達方針の明確化や調達先の信頼性向上に寄与します。

  • 再生紙・非木材紙(バガス、竹、麻など):独特の風合いが“素材を活かすデザイン”と好相性。色数や加工を必要最小限に抑える設計で、総コストを調整しやすくなります。

インキの選択

  • 植物油インキ・水性インキ:一般的に揮発性有機化合物(VOC)の発生が抑えられる傾向があります。色再現は用途・版式で差が出るため、事前校正での確認が重要です。

エネルギー・工程

  • 再エネの調達や省エネ運用、画像最適化・網点設定・RIP 出力条件の標準化などの“見えない改善”は、品質の安定と中長期のコスト管理に役立ちます。

コストは“合計”で見る:素材単価だけで判断せず、色数削減・定型サイズ化・面付け最適化・片面化などの設計で、総額を最適化するのが現実的です。


2. 「エコ×デザイン」が顧客満足につながる理由

触感・風合いを主役に

  • 素材の地合い・手触り・厚みは“記憶に残る体験”になります。光沢やフルカラー頼みではなく、活版・箔・エンボス等の低彩度表現余白の設計で品位を高められます。

物語性を添える

  • 調達背景(再生素材、地域資源の活用、間伐材等)を1〜2行の短いコピー認証・取り組みアイコンで簡潔に可視化。受け手が第三者に語りたくなる要素は、結果として口コミやSNSでの波及につながることがあります。

“制約”が表現を磨く

  • 色数や紙面積を絞る前提は、タイポグラフィ・レイアウト・余白設計の精度を引き上げ、ミニマルかつ現代的な印象を生みます。

表示は誠実に:環境配慮の主張は、実際の取り組みと一致させ、必要に応じて根拠・出典を提示できるよう準備しましょう。誤解を招く表現(いわゆるグリーンウォッシング)は避けます。


3. 小さな工夫で実現する“廃棄ロス”削減

面付けと校正の最適化

  • 同一用紙に複数アイテムをレイアウトしてテストし、本番の校正点数を最小化。初期段階は縮小出力や簡易色校で方向性を固めます。

色調の事前シミュレーション

  • カラープロファイルや機上条件の標準化で、試し刷り回数の削減と色再現の安定を両立。

オンデマンド併用

  • 変動要素・少量の追い刷りはオンデマンド印刷、基幹部はオフセット――といったハイブリッド運用で“念のための余剰在庫”を抑制。

在庫と発注の見える化

  • 簡易な在庫表と季節要因の把握で、最小限の予備で回せる計画に。発注単位を見直すだけでもロスは減ります。

特別な設備投資なしで始められる取り組みから着手するのが要点。まずは面付けテンプレート色基準の共有から。


4. エコ素材パッケージが“選ばれる”設計

素材そのものがメッセージ

  • 再生紙・間伐材・リサイクル由来など、ストーリーをもつ素材は、購入後も語られやすい付加価値になります。

開封体験(アンボクシング)をデザインする

  • 触感・音・香り(紙や木材の匂い)など五感の要素を盛り込み、思わずシェアしたくなる体験を設計します。

機能要件の先出し

  • 防水性・耐久性・可リサイクル性などの要件を最初に定義し、素材・加工・設計を整合。美観と実用の両立を前提にします。

表示は控えめに端正に

  • 認証マークや取り組み概要は小さく、読みやすく。過剰な自己主張よりも“静かな確かさ”がブランドの信頼感につながります。


5. ブランディングを強くする運用フレーム

  1. ポリシーを言語化
    調達基準・優先順位・表示ルールを社内基準として明記。制作の都度、判断に迷わなくなります。

  2. 選べる階段設計
    標準仕様(例:再生紙+植物油インキ)→拡張仕様(非木材紙、バイオ由来包装 等)といった段階別メニューで、予算・用途に応じて選択可能に。

  3. ライフサイクル視点
    長期使用できる内容・差し替えやすい構成・分別しやすい素材構成など、廃棄まで含めた設計を行う。

  4. 可視化と改善
    可能な範囲で使用量/廃棄量/不良率などの数値を把握し、翌年度の仕様・発注に反映。**“小さく試して改善”**のサイクルを回します。


よくある質問(簡易版)

Q. コストは上がりませんか?
A. 素材単価が上がる場合はあります。いっぽうで、色数削減・サイズ最適化・在庫コントロール・工程標準化などの設計で、総額を最適化できるケースは少なくありません。

Q. 品質は確保できますか?
A. 用途・版式との相性を踏まえ、事前校正・標準化・色管理を丁寧に行えば、商業用途でも十分な品質を目指せます。

Q. まず何から始めれば?
A. ①素材・表示の社内基準を決める → ②面付け・色基準の共通化 → ③在庫・追い刷り運用の見直し、の順が取り組みやすいです。


まとめ

サステナブル印刷は、環境配慮・美しいデザイン・現実的なコストを同時に追求する“設計の知恵”です。

  • 素材の物語を簡潔に伝え、

  • 工程の無駄を着実に減らし、

  • 表示の誠実さで信頼を積み上げる。

この三つを押さえるだけで、印刷物は“消費される紙”からブランド体験そのものへ。できるところから、小さく始めて育てていきましょう。

※本記事は一般的な情報を目的としており、特定の製品・企業・効果を保証するものではありません。環境表示や認証マークの使用に際しては、各制度のガイドラインを必ずご確認ください。

2025.10.13 | SNS
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